家賃0円?古民家鍼灸院への道のり②癌と遺産相続

管理人・夏子の歴史

住宅ローンと言う多額の借金を背負い、お金を稼ぐことに貪欲になっていた頃。

我が家に新たな事件が勃発しました。

姉の胸に小さなしこりが見つかったのです。

実は、その数年前にも、同じようなことがあり、乳がんかもしれないと暗い気持ちを抱えて検査した結果、小さな嚢胞が出来てリンパ液がたまっているだけだった、という経験をしていました。
そのため、今回も同じようなものだろう、と気楽に構えていたのですが

精密検査の結果は残念ながら癌でした。

一度、癌の診断が下りると、そこから何度も何度もさらに詳しい精密検査を受けに行く必要があります。検査の結果次第で、治療法も、予後も変わってくる。
とにかく、どんな癌なのか、はっきりするまでは大きな不安を抱えて日々を過ごすことになりました。

そして、ようやく癌の状態が分かりました。


幸い、最もおとなしいタイプの癌で、発見も早かったので、しっかりと治療すれば再発する危険もほとんどないとの事でしたが。

最もおとなしいと言っても癌は癌。
やはり治療法のとしては、乳房の切除と言うものが第一に上がってきます。
そして、おとなしいと言っていても、実際切ってみないと、切除する範囲は正確にはきめられない。
リンパを切除する可能性もゼロではなく、そうなればリンパの流れが悪くなりリンパ浮腫で腕がパンパンに腫れあがって、鍼灸の仕事が出来なくなるかもしれない、と新たな不安を抱えることになりました。

なんとか切除以外の方法はないのか、と探しはじめ、「ラジオ波焼灼術」という手術法があるということを知りました。
乳房の切除はせず、すこしだけ切開し、癌にラジオ波という電磁波をあててがん細胞を死滅させる、という治療法です。

そうは言っても主治医の先生は手術で治る、と言っている。違う治療法を選択したい、とはなかなか言い出せない。不安を抱えつつ、本心を主治医に伝えることもなかなかできず、悶々とした日々を過ごしている姉を、横で見ているだけしかできない自分。

そのことと正面切って向かい合うことが辛くて、今思い返しても、あまりいい相談相手にもなっていなかったなぁ、と思います。

「お姉ちゃんが病気と闘う間、私は、自分のやれることをやるわ」と、一見けなげに聞こえるかもしれませんが、ある意味完全な逃げ、で。

数年前に亡くなった祖母が残してくれた遺産の処理作業を始めました。

この逃げの姿勢の天罰なのか、この遺産の処理が、びっくりするほどうまくいきません。
遺産処理に必要な書類集めからつまづき、なんどもなんどもあちこちの役所に電話をかけたり、出向いたり。
最終的には、祖父から祖母に相続する段階の手続きにミスがあり、そのまま私たちが相続は出来ない形になっていることが判明しました。
なぜ、その当時プロに任せてやってもらったはずの相続にそんなミスが…。
そんなことってそうあることではないはずです。

姉の癌から逃げて、遺産相続で結局苦しむ自分。

こうやってふりかえってみると、結局、人間、がんばらないといけない時って、あらかじめ決められているのかもしれないですね。もし、姉が癌、というタイミングじゃなかったら、私も途中で投げ出していたかもしれません。

その後、姉は主治医に勇気をもって相談、切除手術は回避することができました。
ラジオ波焼灼術をうけたあと、さらに放射線治療にも通わなければならず、平穏な日常を取り戻すには時間がかかりましたが、数年前に手術から5年経過し、今ではすっかり落ち着いた生活を取り戻しています。

そして、私が苦しんだ遺産相続も、本当に投げ出しそうになりながら、なんとかやり遂げることができました。
結局その相続した祖母の家は、なんと20万円でしか売れず。
しかも祖母から孫への相続ということで、相続税もとられ。
なおかつ余分な手続きが多量に発生した結果、通常よりも高い手数料をとられ。
最終的に手元にのこったのは、ちょっと高めのお年玉?くらいの金額でした。

あんなに苦労したのに、お年玉くらいの遺産しかもらえず。
普通の状態なら、たぶん、憤っていたと思うのですが。

なんだかいっそ清々しい想いでした。

最終的には、祖母との思い出もつまった大きめのひな人形を、小さくリフォームすることに、そのお金を使いました。
「なんか、いい思い出になったね」
と、私達姉妹の中で、1つの時代が終わったなぁ、という感じがした出来事でした。

1年ちょっとの間で、この2つの事件を乗り越えた結果。

私のお金に対する価値観は、いつの間にか変わっていました。

といっても、そんな美しい理由で変わったわけではありません。
ただ、いろんな可能性に気が付いて、自分の視野の狭さに気づかされた、というだけです。

たとえば、姉ののように突然癌になるかもしれない。
もし、私が癌になったら、ローンの特約が作動して保険が下りることになっている。そうなったら、返さなくてよくなるよね。

とか。

そもそも、父は59才で亡くなり、母は54才から寝たきり。
自分の未来はわかんないといえ、ローンの繰り上げ返済のためだけに働いて、お金貯めてて、同じようなことになったら笑えなさすぎるよな。

とか。

そもそも毎日毎日バイクで移動してて、明日事故で死ぬかもしれないのに、ローンの繰り上げ返済のために生きてるって、あほすぎるよな。
もっと人生たのしまないとな。

とか。

そんな当たり前のことに、気が付くことができたのでした。

ちょっとだけ、お金の呪縛から逃れられ、世界の見え方が少し変わった、そんな出来事のお話しでした。

つづく

https://my30p.com/p/r/bph04fW7無料メルマガ配信中!

鍼灸マッサージ師の私だから知っている、毎日元気に暮らして行くための東洋医学の智恵や、誰でも使えるセルフケアの技。
食べられる庭があって、畑にも隣接する当院だからこそお伝えできる、畑づくりや、庭造りの様子、それに携わることのすばらしさ、などを配信しています。

メルマガの詳細についてはこちら

今すぐメルマガ講座を読んでみたい方はこちらの登録フォームから

花咲実る通信

管理人・夏子の歴史
シェアする
Natsukoをフォローする
花咲実る鍼灸院

コメント

タイトルとURLをコピーしました