花咲実る鍼灸院の家具は、ほとんどがもともとあったものか、ご好意でいただいたもののみで構成されています。
待合室にあるこちらのソファーも、古民家で長らく眠っていたものでした。
全体的に黒ずみ、手垢まみれ。飾りのボタンは外れかけ、正直、これはちょっと再生は厳しいかなぁと思っていたのですが。
姉が、革靴を洗えるレザーソープなるものを持っており、それで洗えばいいんじゃないのと提案してくれました。
レザーソープを、濡らしたスポンジで擦り、そのスポンジで革製品の汚れをこすります。
しっかりと汚れと石鹸を馴染ませるようにして塗り込み、そして擦り落とすと言うなかなかに根気のいる作業です。
そして、この汚れの落ち具合と言うのが実に微妙で、みるみるうちにきれいになります、とはいかず、ちょっとずつちょっとずつ薄くなってきたかなぁと言うレベルでしかきれいになっていきません。
正直、こういう作業苦手です。
やったことの結果が、目に見えて、すぐ現れるものなら、俄然気合が入るのですが、自分のやっていることに効果がの効果がいまいち、はっきりわからない。
進んでいるのか戻っているのかわからない。
一体いつになったら終わるのかわからない。
ツラい、辞めたい。
白状しますと。
私はネガティブな上に根性なしです。
学生の頃、体育の時間の持久走は大嫌いでした。ビリになるのが嫌で、一番最後の人が追いつきそうになった時だけ必死こいて短距離走のように走ると言うことを繰り返すような人間でした。
運動部に入りましたが、基礎練習のランニングが嫌ですぐに幽霊部員になりました。
とにかく腰を据えてじっくり頑張るということが昔から苦手でした。
「もういいんちゃう〜」
ソファーのアップサイクルにどんどん消極的になっていく私。
やたらと根気よく、前向きに私を励ましてくれる姉。
「ほら、ちょっとずつきれいになってきたよ。ここ見てみ」
と、汚れの落ちた部分に注目を向けさせ、何とか頑張らせようと応援してくれました。
お手伝いしてくれている姉の言う事を無視することはさすがにできず、しぶしぶ頑張り続けた結果。
だんだんと成果が見えてくるようになってきました。
こうなってくると、私自身のやる気にも火がつき、最終的に3時間ほどお手入れして、何とか待合室におけるレベルまできれいにすることができました。
アップサイクルに臨んでみて思うこと。
アップサイクル、それは自分との戦いだ!(←大袈裟w)
なんせ適切な道具を持っているわけでもなく、優れたノウハウも知りません。何が正解なのかわからない道に、使い方もよくわからない道具を持って、闇雲に突進していく(←単に段取りが悪いという個人の資質の問題)素人のアップサイクル。
楽しい局面もありますが、苦しい局面にも出くわします。そんな時、自分の本性があぶり出されて、ある意味まるで写経をしているような感覚を覚えました(←だから大袈裟)
瞑想体験もしつつ、あるものを大切にして長く使う持続可能な暮らしを実現し、古いものを復活させる技術を覚える。
そして、仕上がった後の達成感は何よりの喜びです。
こんな、得るものがたくさんあるアップサイクル。
捨てるもの、捨てられているものを見つけたら、何か素敵に使えないかなぁ、なんてチャレンジしてみるのも悪くない?かもです。
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