超初心者向けお灸講座・はじめの一歩Q&A

身体のために出来ること

去る8月1日、「超初心者向けお灸講座・はじめの一歩」をオンラインで開催させていただきました。毎日の猛暑、生きてるだけでも自分をほめたいそんな夜、ご参加いただきました皆様、共同開催してくれたまなみん、ほんとうにありがとうございました。

有難いことに沢山のご質問をいただきました。

皆様ご自分の知りたい質問だけ、記事の目次から飛んでくださいね。

  1. ツボを押したりお灸をしたりするとなぜ効果があるのか、わかっている範囲で教えていただきたいです。経験や歴史があるからというと、ちょっと入りにくいです
  2. 整形外科の治療でもどうしようもなかった時、劇的によくしてもらえました。今はメンテナンス的に通っているのですが、効果は感じられません。定期的ではなく必要時にかかるのがいいですか?
  3. お灸と鍼の違い、鍼灸師としての使い分けは?
  4. 猫ちゃんの足三里はどこですか?
  5. 足三里の場所を調べるとき、右ひざのお皿を起点に指四本をあてるけど、小指の長さが違ったり、指の関節が固かったりしてちゃんとツボのところになっているか分からない時分かるコツを知りたい
  6. 咳が出た時に、効くツボとかありますか?
  7. すでに台座のお灸をやっておりますが、自分でやる際に気をつけるポイントは何かありますか?今は例えば、喘息気味>ネットで検索>そこに効くツボを見つける>そこにお灸してみる>自分の反応を見てみる、みたいな流れでやっています。基本的にこんな感じでよろしいでしょうか。
  8. 以前、お灸体験講座に参加した時に、台座灸を腕のツボ(どこか忘れてしまいました)に付けたのですが、熱さを全く感じないでぼーっとしていたら、周りにいた人は熱くてどんどんお灸を外していました。これは私がものすごく冷えていたんでしょうか?
  9. 「効く」と「治る」の違いについて
  10. どんな講座だったの?と気になる方におしらせ

ツボを押したりお灸をしたりするとなぜ効果があるのか、わかっている範囲で教えていただきたいです。経験や歴史があるからというと、ちょっと入りにくいです

こちらは事前質問です。

わかります、私も同じ気持ちだったのでw

わかっている範囲で、という部分は講座の中でお伝えしたので割愛しますが。

「経験や歴史?そんな非科学的な理由?結局迷信じゃないの?気の持ち様ってやつじゃないの?」

って私も思ってました(あ、質問の主様はそこまでおもってないかもですw)

でも今はちょっと違います。

昔の人類って、現代社会を生きている私たちよりも、おそらく何倍も感覚が鋭かったと思います。

風の音、におい、湿度、温度などの変化から気象を感じとる力
肉食獣、はたまた同じ人間でも自分たちをおびやかす外敵の接近を感じとる力
あらゆる感覚を研ぎすますことが、命をつなぐことに直結していたからです。

また昔の医師は、多くの場合身分の高い人の治療にあたっていました。

中国や朝鮮の王朝では、王を死なせてしまったら、医師も殺されたりする、今じゃ考えられないような時代もありました。

これまた命がけです。

人類のながーい歴史のなかで、命を守るために自らの感覚を研ぎ澄まし、知恵を振り絞ってあつめられた経験の蓄積が東洋医学をはじめとする「伝統医学」だと思っています。

それこそ何万回、何億回の実験を繰り返してきた、とも言えます。

現代科学にわたしたちがわかりやすい価値をかんじるのは、「現象の原因を詳細に明らかにし、その現象の再現性が担保されていること」、だと私は思います。

それはそれで、とてもすばらしいことです。

ただ、原因を明らかにする術が今ほどたくさんなかった(血液検査も顕微鏡も、レントゲンもエコー検査ない)時代に、人間という生命体のありのままを、あらゆる感覚を研ぎ澄まして診察し、導き出された考え方だからこそ、今もまだその理由は解明できないけれど、「確かに効く」という結果を生み出しているのではないか、と思うのです。

今やっと、現代科学がその原因を少しずつ解き明かしている。
人間の本来持っている感覚と智慧に、現代科学が追い付いてきた」、といってもいいんじゃないかなぁ、というのはちょっと大げさですが、テレビでも言ってましたw

整形外科の治療でもどうしようもなかった時、劇的によくしてもらえました。今はメンテナンス的に通っているのですが、効果は感じられません。定期的ではなく必要時にかかるのがいいですか?

こちらも事前質問でした。

これ、あるあるです。

「はじめは劇的によくなって感動したけど、最初だけだったわ」

ぶっちゃけますよ。

そりゃ当たり前ですwww

身体をよくするためのアプローチを全くしていなかった時と、定期的にするようになった後では、一回ごとの変化の感じ方は、違って当たり前なのです。
初めてのときめきは、人との出会いも、鍼灸との出会いもなかなか持続できるものではありません。

みなさん、最初にあまりに感動しすぎて、感動的な美しい思い出を、さらにご自分の中で美しくしてくださってるんだなぁって、おもいます(笑)

そんな感動、毎回与えられません!ごめんなさい!

と、冗談はさておき。

何かツラい症状があるときは、同じ生活をくりかえし、身体におなじダメージをあたえてきていたわけです。そこに鍼灸という刺激を与えることで、回復方向に働きかけた。なので、ある程度の症状は改善することができます。特にはじめはその変化を劇的に感じる方も多いと思います。

だからと言っていくら鍼灸をしても新しい身体に作り変えることができるわけではありません。

ベースの身体はあくまでも変わらないのです。

それ以上の伸び代を期待していただいても、なかなか難しい、と言わざるをえません。

初めてのような感動はなくなったかもしれませんが、それは治療効果がなくなった、というわけではありません、と個人的には(笑)断言します。

でもやっぱり、自分の担当の鍼灸師さんに、聞いてみるのがいちばんです!

とはいえ、聞きにくいから、質問してくださってるのだと思うので、わたしならこう答える、というのを参考までに書いておきますね。

「○○さんが最近鍼灸受けても受けなくてもあんまりかわらないなぁ、とおもわれるなら、いったん辞めて様子を見られていいと思います。もしそれで調子がわるくならなければ、それはそれですばらしいことです。私がそこに至る回復に少しでもお力になれたなら嬉しいです。」

本当にそうなんですよ。

施術をうけたうえで、患者さん自身が養生して、生活習慣を変えて体に負担をかけない暮らしにされた場合、施術に来なくてもつらくなるほどの不調を起こさずに過ごせる場合もあります。

ただね、生活習慣そのままで、施術に来なくなったら確実に、同じ不調をくりかえしますよね。

また、できるだけ、養生しようとしても、しきれない場合もあると思います。

その場合もやはり同様で、完全に治療をやめてしまえば、いつかは同じ不調をおこしますよね。

だから、メンテナンスという発想があるんだと思うんです。

養生が不十分な体を流れる経絡は、いわば自然に背いて人間がつくった水路に似ていて、ときどき土砂をどけてやらなければ流れが悪くなってしまう。その結果としてがツラいほどの不調となって現れてくる。

だから時々は溝掃除して、ちゃんと流れるようにしておきましょうね。

という感じでしょうか。

これらのことを踏まえたうえで、不調がでない状態を保つことに

△時間という時間と、✖円というお金をかける価値

を感じられるか?というところで判断されれば良いのではないでしょうか?

あ、あと大切なことをもう一つ。

もし鍼灸をやめた結果、ちょっと不調かもしれない、と思われた場合は、早めの施術の再開をおススメします。

残念ながら、生き物はすべて「死」に向って生きています。
誰にとっても避けられない、それが老化。
老化の一番の特徴、それは「回復力が落ちる」ということです。

とことんまで不調が悪化してしまってから施術を再開しても、以前と同じ状態まで戻るのはむずかしい、戻れたとしてもそれにかかる時間はおそらく長くなっていると思います。

なので、不調には早め早めの対策を、ということは覚えておいてくださいね。

このことも踏まえて

△時間という時間と、✖円というお金をかける価値

を施術に見出せるかということをお考えいただければなおよいかと思います。

お灸と鍼の違い、鍼灸師としての使い分けは?

鍼とお灸をくらべてみたとき、お灸は講座内でもお話したとおり、温熱刺激であることが一番の特徴です。
なので、冷えが病の原因に関係しているな、と考えられる時には特に積極的につかいます。
対して、鍼は皮下に刺入=皮膚に穴をあけます。
穴をあけるとなんとなく、たまったものが抜けていくような気がしませんか?
ということで、お灸とくらべると滞ったものを抜く、ことに適した治療といえます。

といっても、これはあくまでも考え方の一例で、鍼でも体を温める作用をもたせる施術方法もあります。

猫ちゃんの足三里はどこですか?


ここです!

これをよく見てもらうと、猫をはじめとする四足動物はじつはみんなつま先立ちなのがわかります。おもしろくないですか!?

実は哺乳類って外見は違っても、骨格ってかなり似ています。

例えば背骨のうち首の骨(頸椎)はすべての哺乳類で7個です。

また同じ名前の骨がほとんどです。


外見上、魚のように見える鯨のひれには指の骨があり、胸には肺をまもる肋骨があります。かなり退化してはいますが、骨盤も存在するのです。
決して魚のように平べったい骨格ではありません。
彼らがいったんは地上で暮らした後、海に戻って行った証ですね。

シロナガスクジラの骨格

こうやって骨格、という身体の基本の構造を見ると、人間って、なーんも特別な生き物じゃないのに、特別な顔して地球にのさばってるなぁ、っていつも思います。

足三里の場所を調べるとき、右ひざのお皿を起点に指四本をあてるけど、小指の長さが違ったり、指の関節が固かったりしてちゃんとツボのところになっているか分からない時分かるコツを知りたい

基本的にツボの特徴
・陥凹している(へこんでいる)
・圧痛がある(おしたらなんとなく痛いような感じがする)
を基準に選んでいただくのが良いかと思います。

ちなみに、私が師匠に同じことを聞いたときの回答をご紹介
「三里はデカいから気にしなくていいよ」
…ツボにデカいとか小さいとかあるんだ、とその時の私、おもいました。
でも、そうらしいです。

とはいえ、やはり気を付ける点があります。

膝から下の部分の足は真ん中の太い骨、脛骨、とその外側にある少し細い骨、腓骨があります。
この腓骨の前側のラインは「胆経」という別の経絡になり、足三里とは違う経絡になります。そのため作用も若干変わります。
これはこれで、効果の高いツボで、押すとずーんとした響きがあり、間違えやすいのですが、間違えても大きな問題はないので安心しつつ、ご注意くださいね。

咳が出た時に、効くツボとかありますか?

咳の原因も色々ありますが、やはり呼吸器の症状であることは間違いなく、東洋医学的にも呼吸を主る「肺経」のツボを使うことが多いです。
いちばんわかりやすいツボとしては太淵、というツボがおススメ。
肺経の「原穴」とされているツボで、肺経の気血の流れを整え、咳を沈めてくれる作用が期待できます。

場所はここ

手首の関節のしわ、の親指側。へこんでいて脈が打っているのをかんじられるところです。

すでに台座のお灸をやっておりますが、自分でやる際に気をつけるポイントは何かありますか?今は例えば、喘息気味>ネットで検索>そこに効くツボを見つける>そこにお灸してみる>自分の反応を見てみる、みたいな流れでやっています。基本的にこんな感じでよろしいでしょうか。

すでに活用されていてすばらしいです!
やり方もばっちりですね。
特に自分の反応をみてみる、というところが素晴らしい!
ここで一つだけ気を付けてほしいのは
「本当に効いてるのかな?」と疑って反応をみないほうがいい、ということです。
実は長年私がそうでした(;^ω^)
東洋医学は「気」を取り扱います。
疑いの「気」を自らが発すれば、小さなお灸の刺激でおこった些細な変化はかき消されてしまうかもしれません。

以前、お灸体験講座に参加した時に、台座灸を腕のツボ(どこか忘れてしまいました)に付けたのですが、熱さを全く感じないでぼーっとしていたら、周りにいた人は熱くてどんどんお灸を外していました。これは私がものすごく冷えていたんでしょうか?

その可能性もありますが、それ以外にも理由は考えられます。
例えば角質が分厚い人は熱さを感じにくくなります。
熱さを感じる神経は皮膚表面と、すこし皮膚の深いところである真皮という部分にも存在するため、表皮の角質と言われる外側の層が分厚い人は熱さに対しての耐性が強いと考えられます。

ちなみに東洋医学の診断では冷えているかどうかを見るときに脈が速い、遅いということを基準にしたりもします。

「効く」と「治る」の違いについて

最後はご質問への回答ではなく、私からの補足解説です。

今回の講座では「(お灸は)なんにでも効く」とお伝えしました。

その理由は講座内でもお伝えした通り、東洋医学の考え方をもってすると、どんな不調にも打つ手がある、対策ができる、ということです。

ただ、ここで「効く」=「治る」という考え方をしてしまうと、

「治らない」=「効かない」

ということになり、セルフケアをつづけるモチベーションが保てなくなるかと思い、ここで改めて解説させていただきます。

お灸をはじめとする体に刺激を与えるセルフケアは、直ぐに期待したような効果を必ずしも感じられるわけではありません。

でもその刺激は、確実にご自信の身体の中に何らかの反応を引き起こしています。

どうぞ、その反応に眼を向け、耳をかたむけ、感じとるようにしてください。

と、こんなことを言っている、私自身、それが出来ていませんでした。

患者さんの訴えている症状が思ったように改善せず「治った」という手ごたえが感じられないと自分の施術は「効かないんだ」と長年思ってきました。

でも、あるとき気が付いたんです。

患者さんの訴えている症状は完全にはなくなっていなかったとしても、鍼灸やマッサージの刺激は確実にその人の身体に変化を与えています。

変化は些細かもしれません。

例えば、声がおおきくなった、とか、眼がぱっちり開いた、とか、顔色が良くなった、とか、よく眠れるようになった、など。一見、症状の改善とは何の関係もない変化であることもあります。

でも

声が大きくなったのはしっかり呼吸できるようになったから、だし

目がぱっちり開いたのは、筋肉がしっかり動かせるようになったから、だし

顔色が良くなったのは血流がよくなったから、です。

これらはすべて身体の回復力を高める変化です。

だからこそよく眠れるようになり、シッカリ休息出来れば、身体の回復力はさらに高まっていきます。すなわち、患者さんの身体は自らを治す力を取り戻すことができるのです。

鍼灸やマッサージは、触覚、痛覚、温覚などを通じて体に刺激を与えます。その刺激によって身体の中で自らの身体を治す反応が引き起こされるというのが最大の特徴です。

お薬を使った治療というのは、体内に化学物質を取り込むため、どうしても意図する効果とは別の「副作用」が付いて回りますし、お薬を代謝するために肝臓や腎臓に負担をかけることになります。

体調に異変があった時、お薬以外に頼れる手段として、セルフケアの智慧や技術を、ぜひとりいれていただければ、と思います。

今回のお灸講座が、その一つになれば、こんなにうれしいことは在りません。

今回受講してくださった皆様、本当にありがとうございました。

どんな講座だったの?と気になる方におしらせ

こんな質問が飛び出した「超初心者向けお灸講座・はじめの一歩」は終了してしまいましたが、当日使用したスライドを利用し、わたしが解説させていただいてる動画を販売しています。

こんな方にオススメです。

・健康な身体を維持したい

・できるだけ薬に頼らず体調を維持したい

・冷えが気になる

・健康管理に気を付けているつもりだけど、それでも不調な時に頼れるものがほしい

・東洋医学に興味がある

講座では、

このようなことをご説明させていただいています。

この動画を見てもらった方に、実際お灸をやってみよう、という気持ちになってもらえるように、と思って作りました。

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